1987(昭和62)年の3月初旬は、東北を一周する旅をした。
青森県には、いくつかの私鉄があるが、中でも旧型国電が数多く走っていることで有名だった弘南鉄道を訪れたいと思っていた。そして、その日がついに訪れた。
大鰐駅には、17メートル級の旧型国電も止まっていたが、他にも上田交通や小田急、京浜急行などからやって来た多様な車両が見られた。
国鉄では、17メートル級の旧型国電と言えば、ぶどう色(茶色)のイメージだが、ここではクリーム色とえんじ色のツートンカラーに彩られていた。
だが、他にも目立っていた車両の姿があった。
それは、旧型国電と同じ旧国鉄の古い単線用のラッセル式除雪車、キ100である。凸型電気機関車のED22-1と連結された状態でホームに停車していた。
こちらは、どう見ても国鉄時代と同じ姿で、特に変化は見受けられなかった。
違うと言えば、弘南鉄道の記述があるところだ。ただ、弘南鉄道の社章は、明らかに国鉄時代の所属記号を塗りつぶした上に描かれていた。
3月初旬と言えど、周囲には雪が積もっており、京都とは比べものにならないほど寒く感じた。
こんな状況で、窓を開けて撮影していると、地元の人に嫌がられそうだが、他にお客さんの姿は無かったのだった。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。