1985年1月26日(土) 夜の国鉄・京都駅山陰ホーム

今、受験の時期だが、誰しも人生において、必ず通らなければならない関門ではある。
 そんな受験も、合格が決まると一気に気が楽になるもの。1985(昭和60)年1月の半ばに大学の入試を受けた自分も、合格発表を見に行き、自分の受験番号が掲示されているのを確認した途端、嬉しさよりも一気に気が抜けたことの方を覚えている。まだ、2月末に別の受験校があったのだが、とりあえず進路を確保できた、という安心感があった。

真冬の真っ只中でもあった1月末、夜の京都駅を訪れた。
 山陰線を走る夜行の寝台普通列車「山陰」が3月のダイヤ改正で廃止になることが発表されたので、その写真を撮りに行こうと思い、家で夕食を摂った後、同級生らと自転車に乗って京都駅へ向かった。

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京都駅に着くと、1番ホームに急行「ちくま」の姿があった。けん引機のEF65PFには、古めかしい字体で書かれた所属機関区を示す「宮」のプレートが見えた。

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12系座席車の後ろには3両の20系寝台車が併結されていたが、このときは最後尾が食パンを切ったような切妻のナハネフ23だった。

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前は12系座席車と10系寝台車5両の編成だった急行「きたぐに」も、既に14系座席車+寝台車の編成に置き換えられていた。

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山陰線ホームに移動すると、山陰2番ホームに出雲市行きの「山陰」が止まっていた。たった1両の寝台車はオハネフ12だった。

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機回しされて、DD51が先頭に連結された。

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窓越しに赤い服を着た乗客のお姉さんが見えて、なんとなく手で合図を送ったら、ブラインドを開けてくれたので、寝台がセットされている様子が見えた。ポーズもとってくれたのでシャッターを切ったが、窓越しで思い切りフラッシュが反射して映り込んでしまった。

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氷点下になろうかという寒い夜、床下から漏れ出た蒸気暖房の白い湯気がホームに漂っていた。

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それほど乗客で混んでいる訳でもなく、ホームは閑散としていた。これでは廃止も止むを得ないだろうな、と思ったが、見るからに夜行列車独特の風情があり、座席車だと普通切符だけで乗れるので、安価で旅が楽しめることもあり、自分のようなお金の無い若者には重宝された存在ではあった。

今では、限られた日の運行ではあるが、かつて山陰1番・2番ホームのあった位置から「WEST EXPRESS銀河」が発着している。しかし、普通切符で気軽に乗れる夜行の普通列車は、遠い昔の記憶になってしまった。

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。