1986年11月 近鉄・モト90型

京都に住む自分が、大阪府南部にある大学まで通っていた頃、京都市営地下鉄と近鉄を乗り継ぎ、奈良~橿原神宮前経由で片道2時間半~3時間も掛かった。
 京都市営地下鉄から阪急京都線に乗り換えて梅田に出て、大阪市営地下鉄か国鉄の大阪環状線で天王寺に行き、そこから近鉄南大阪線を乗るルートもあったが、こちらの場合、定期券が4枚になり高額になる。それに比べて、奈良経由だと定期券が2枚で済み、しかも近鉄の長距離運賃は割引率が高く、梅田経由の場合と比べて定期券代は1/4になる安さだった。

そんな奈良経由で通っていた大学時代、利用した近鉄では、バラエティに富んだ車両を見ることが出来た。

ある日、乗り換えで利用していた橿原神宮前駅のホームに、見慣れぬ電車が停車していた。

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先頭車には回送マークが掲げられていた、その車両は、モト90という電動貨車だった。
 何でも、近鉄の往年の名車である2200系電車の足回りを持っている車両らしかった。

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国鉄では配給車という事業用車があったが、見た目は同じだった。

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この車両、狭軌区間である南大阪線の車両を検査する際、標準軌である大阪線の五位堂工場まで運ぶために活躍していたのだった。レール幅が違うので、台車を履き替える必要があり、検査を受ける電車は、いつも履いている狭軌の台車を取り外して、このモト90の後部荷台に載せ、代わりに標準軌の仮台車を履かされていた。

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京都行きの特急が隣に入線し、ミニ・スナックカーこと18400系と並んだ。

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橿原神宮前駅の横にある検修庫では、けん引用の古い電車の姿もあった。

モト90は、1960(昭和35)年に製造された古い車両だが、その後、足回りなどの交換はあったものの、製造から60年以上が過ぎた今でもなお現役である。

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。