2019年8月6日(火) 加悦SL広場

かつて、京都府北部には複数のローカル私鉄があったが、旧国鉄宮津線などを第3セクター化した北近畿タンゴ鉄道→京都丹後鉄道を除き、平成の時代を迎える前に姿を消していた。
 1985(昭和60)年5月1日に廃止されたのが、京都府野田川町(現与謝野町)の旧国鉄・丹後山田駅(現京都丹後鉄道・与謝野駅)と、加悦町(現与謝野町)の加悦駅とを結んでいた加悦鉄道である。

加悦鉄道がまだ運行されていた1977(昭和52)年に、加悦鉄道加悦駅構内に「加悦SL広場」が設けられ、主に加悦鉄道で走り、引退した車両を中心に展示が行われていたが、その後、大江山鉱山駅跡に移転した。

名称に「SL」が付いていることから、SL=蒸気機関車ばかりが保存されているかと言えば、そうではなくて、電車や気動車も貴重な車両がいくつも保存されていることで、鉄道ファンの間では知る人ぞ知る存在だった。

そのSL広場も、年号が平成から令和に変わった頃には、廃止されるというウワサが聞こえてくるようになり、2019(令和元)年8月初旬に訪れてみた。

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広場の前を走る国道からは、旧国鉄のC57とC58の姿が見えていた。しかし、長年の屋外展示で、かなり錆に覆われており、もはや朽ち果てる寸前という感じではあった。

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入口の前には、旧京都市電の「N電」が置いてあった。これは、かつて宝塚ファミリーランドに保存・展示されていたものだが、同園の閉鎖に伴い、2003(平成15)年に移転してきた。こちらも長年の屋外展示で、かなり朽ちて今にも崩壊しそうな感じになっていた。表記は「No.5」になっているが、実際はN23号車といわれている。

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その反対側には、南海電鉄の電車が並び、一部はレストランとして営業していたが、今回訪れた時には、既に営業を止めていた。雨漏りがしているらしく、屋根が広範囲にビニールシートで覆われていた。

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広い構内には、珍しい車両がいくつも置いてあった。除雪車キ100型は、車内に入ることも出来た。

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この加悦SL広場にある車両のいくつかは、保存会の人たちの手によって動態保存がなされていた。

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与謝野町文化財に指定されているキハユニ51も、車内に入ることが出来た。

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そんな中で、多くの鉄道ファンにとって最も人気があるであろう車両がキハ08である。
 旧型客車を改造してエンジンを搭載し、無理やりに気動車化した珍車だが、今ではここでしか姿を見ることが出来ない貴重な存在である。

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その近くには、こちらも今となっては貴重なキハ10の姿があったが、キハ08と同様、車体には傷みが目立っていた。

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動態保存されているDB201は、見るからに「現役車両」という感じがした。

この加悦SL広場も、廃止のウワサは本当だったようで、ここを訪れた後、ほどなくして廃止が発表された。そして、2020(令和2)年3月末をもって閉園となってしまい、保存されていた車両の一部は、新たな保管先に移送されたが、残された車両は、現在も譲渡先を探しているものがあるという。

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。