1980(昭和55)年の夏休みのこと。この年の夏は、なぜか気温がそれほど上がらず、いつまでも梅雨が続いているかのような感じだった。
8月も晴れたのは10日に満たず、最高気温が30度を超えたのも16日しかなく、35度を超える猛暑日は一日も無かった。しかも、お盆以降は雨ばかりだった。
そんな8月の初め、母方の実家のある岡山県倉敷市へ帰省すべく、京都駅を訪れた。母と妹の3人で、在来線経由での旅だった。
地下鉄が開通する前だったので、市バスで京都駅に向かったのだが、予想よりも早く着き、乗車を予定していた新快速の発車時刻まで余裕があったので、ちょっと撮影で時間つぶしをすることに。
1番ホームには、軌道検測車マヤ34をけん引するDD13の姿があった。
京都駅の東寄りにあった跨線橋は、地下鉄開業に合わせた地下通路の建設に伴い、この年の5月限りで使用停止になり、撤去作業が行われていた。
1番ホームに急行荷物列車が入線し、荷物車の入れ替え作業が行われていた。
先頭に立つのは、宮原機関区に所属していたEF58の中でも原型の大窓機で人気のあった53号機だった。
荷物列車が発車していくと、再び京都駅構内に、しばしの静かな時が流れていた。
583系の特急「雷鳥」が1番ホームにやって来て、すぐに発車して行った。
今から41年前の風景になるが、当時は、どことなく時間がゆったりと流れていた気がする。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。