かつて、およそ5年に一度ほど、仕事のために年末年始の一週間ほどを東京で過ごす機会があった。
多くの場合、元日のみが休みだったため、よく関東方面の未踏路線を乗りに行っていた。
2008(平成20)年の元日は、千葉県の成田線を踏破することにした。東京駅から京葉線、総武線経由で千葉を通り、成田駅に辿り着いた。

駅のホームに「謹賀新年」の看板が掛かっていた成田駅のホームに降り立つ。ここまでお世話になったのは、JR東日本のE231系電車だったが、車体に塗られた色が常磐線のエメラルドグリーンだったので、昔から常磐線=エメラルドグリーンという固定観念があった自分には、ちょっと変に思えた。

折り返しで「上野行き」になっていたが、車体をよく見ると、山手線をイメージしてしまうウグイス色の帯もあって、ますますどこの路線を走っている電車なのか、関西人の自分には分からなくなってしまう。

関西人の自分にとって、房総地域の電車と言えば、スカ(横須賀線)色の113系であるが、このとき、既に珍しい存在になっていた。
成田線に乗って、常磐線の我孫子駅に抜けたが、今となっては、どんな車窓だったか思い出せない。ということは、あまり印象に残らなかったということなのだろうか。

常磐線の電車を待っていると、関西人の自分には、まあまあ珍しい車両が来たので撮影しようとカメラを構えていると、その視界の右側に651系の特急「ひたち」が見えた。

珍しい車両とは、地下鉄乗り入れ用の203系電車だった。国鉄時代からの車両だったが、この後、2011(平成23)年9月までに全て姿を消してしまった。
しかし、幸いなことに203系電車は、その後、インドネシアとフィリピンに譲渡され、前者は通勤電車として、後者は客車として、今も活躍を続けているようである。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。