1994(平成6)年の年末、東京と長崎・熊本を結ぶ寝台特急「みずほ」が廃止されることになり、12月2日に最終の下り列車が京都を通るので、仕事を終えてから京都駅へ向かった。

国鉄からJRになって以降も、ダイヤ改正の度に夜行列車が少しずつ廃止されていく流れは変わらず、東京と九州を結ぶブルートレイン=寝台特急も例外ではなかった。2回利用したことのある寝台特急「みずほ」も、その最後の日を迎えることとなった。
食堂車や個室寝台車も連結していた「みずほ」だったが、食堂車の方は1991(平成3)年に営業休止となっていた。しかし、食堂車は売店機能を残しており、全区間を通しての車内販売営業は続けられていた。

京都駅6番ホームに最終の「みずほ」が滑り込んできた。まだフィルム時代であり、ISO1600の高感度フィルムを詰めた上で、列車が停止してからフラッシュ撮影した。

ホームには別れを惜しむ鉄道ファンが何人もいたが、驚くほど多い人数ではなかった。夜のテレビニュースで見た東京駅のホームは、人があふれるほどいたのが映っていたことを思うと、京都ではこんなものかなあ、と少しがっかりした。

この後も、ダイヤ改正の度に姿を消すブルートレインが相次ぎ、その都度、別れを惜しむ鉄道ファンは増えていった。そして、2000年代に入ると、かつて見た東京駅の光景と変わらないぐらい、京都駅のホームもカメラを手にした鉄道ファンであふれんばかりの状態になっていった。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。