1994(平成6)年の秋、京都府向日市にある向日町運転所(現・吹田総合車両所京都支所)を訪れる機会があった。
鉄道は幼少の頃から好きだったが、まだカメラで写真を撮ってなかった頃、同級生の父親が国鉄職員だったので、友人らと一緒に向日町運転所を「見学」させてもらった経験はあったのだが、カメラを手にして構内に入るのは、この時が初めてだった。

入社した時はまだ「国鉄」だったという職員の方に案内されて構内に入ると、まず目に入ったのが、軌道検測車のマヤ34だった。

その近くの留置線には、珍車として知られる「配給車」のクモル145+クル144が止まっていた。

構内には、他にも多くの事業用車の姿があったが、目立っていたのは全国でも向日町運転所でしか姿を見ることが出来なかった、けん引車クモヤ91である。旧型国電モハ72の改造で数多く誕生したクモヤ90とは異なり、交直流電車にも対応していたのがクモヤ91で、直流では電動車として、交流では制御車として対応する車両だった。

特急車両が並ぶエリアには、まだデビューして間もない関空特急「はるか」用の281系電車が整備を受けていた。右隣りには、夜行急行「きたぐに」にも使用されていた583系の姿も見える。
本来、他にもブルートレインなどもいた筈なのだが、この頃には趣味として鉄道写真を撮ることが殆ど無くなっていたこともあって、フィルムの保存がいい加減になっており、撮影済みのネガが他に見つからなかったのが残念だ。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。