大阪の大学へ通うのに、定期券を1枚で済ませるため(=安くなる)、京都から奈良を経由していたため、日々、近鉄のお世話になっていた。
片道3時間近く掛かり、往復で一日の1/4を電車の中で過ごしていた訳だが、鉄道好きの自分にとっては、思ったほどの苦痛ではなく、むしろ寄り道するのが楽しかった。
新学期が始まった4月のある日、京都駅に見慣れぬ「天理行き特急」が止まっていた。年に数回ほど見られる珍しい臨時特急だが、この日は天理教の重要な日のために主に信者の輸送用に運転されていたらしかった。(ちなみに一般客も特急券さえ買えば乗ることが出来る)
橿原神宮前行きの急行に乗り、途中の田原本駅で下車して、すぐ近くにある西田原本駅に立ち寄る。
時間に余裕があったので、西田原本と新王寺を結ぶ田原本線を見に行ったのだが、実はここまで乗って来た近鉄・橿原線と線路そのものはつながっている。が、駅が少し離れているのは、元々が別々の私鉄であったというルーツを持つからだ。
ホームには、いかにも車体幅の狭い旧型の電車が出発を待っていた。
駅を少し離れた場所から見ると、いかにもローカルな雰囲気だった。
行き止まりになった線路の中で、犬を散歩させている人の姿があった。時代が変わり、今でこそ線路内に立ち入ることは大問題になってしまうのだが、当時は、列車の運行に影響を及ばさなければ、それほど目くじら立てて問題視されるものではなかった。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。