1981年5月29日(金) 京都市営地下鉄開業

1978(昭和53)年の9月30日に京都市電が全廃になってしばらくの間、京都市内の公共交通機関と言えば、市バスかタクシーしかない時代が続いていた。
 もちろん、その間には京都駅と北大路駅を結ぶ京都市営地下鉄・烏丸線の工事が着々と進んでいた。そして、1981(昭和56)年5月29日に、開業の日を迎えた。

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当時、中学生だった自分は、1番電車に乗ろうと、友人3人と前夜から京都駅に並びに行った。
 翌日は金曜日なので授業があり、1番電車で京都駅から北大路駅まで乗り込んだ後、一旦家に帰ってから登校するつもりだった。

木曜日の午後8時頃、京都駅に着くと、既に改札口前で並んでいる人たちがいた。聞けば、京都にある大学の鉄道研究会の方々だった。
 その後ろに並ばせてもらったが、1番電車が出るまでは、まだまだ時間があった。当時は持ち運びできる携帯ゲーム機も無ければ、スマホも無かった時代だったから、時間つぶしには花札やトランプするのが定番だったが、大学生たちは麻雀していたので驚かされた。まあ、そんな時代だった。

夜中になり、急速にお腹が空いて来た。まだ、コンビニも無い時代である。
 駅の近くに深夜まで営業しているラーメン屋があると大学生の人たちに教えてもらった。親切な大学生の方々は、場所をとっといてやるとまで言われたので、その言葉に甘えて、友人たちとラーメン屋へ向かった。

すっかり満腹になり、京都駅へ戻る途中だった。駅前の交番の前を通った時、急に中から「ちょっと、キミたち」と大きな声で呼ばれた。
 中から出てきたお巡りさんに「キミたち、いくつや?」と聞かれ、中学生だと言うと「こんな夜中にウロウロしてたらアカン」と叱られた。

1番電車に乗るためだ、と言っても、子どもたちだけでは駄目だと言われ、挙句の果てに、全員が強制的にタクシーで帰宅させられてしまったのだった。

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翌日、学校に行くと、友人たちは「1番電車、乗って来たで!!!」と口々に自慢していた。
 なんと、懲りずに早起きして、再び乗りに行ったというではないか。

すっかり落ち込んだ自分は、放課後に一人だけで地下鉄に乗りに行った。
 いや、行かねばならなかったのだ。なぜなら、前夜、京都駅前まで自転車で行ったので、それを取りに行く必要があったから…。

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鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。