高校までは徒歩通学だったが、大学に進学すると電車通学になり、JR京都駅を利用する日が格段に増えた。しかし、それまで撮影に行くという特別なことが多かった「京都駅に行く」行動が日常と化してしまうと、逆にカメラを手に駅で撮影する機会は減ってしまった。
とはいえ、時折、時間を見つけては通学途中に写真を撮ることはあった。
京都駅のホームの端から600ミリの超望遠レンズを使うと、当時「イモイモ写真」と呼ばれていた望遠レンズによる圧縮効果が強調された写真を撮ることが出来た。
高校生の頃までは、最大でも200ミリの望遠レンズしか持ってなかったこともあり、馬鹿の一つ覚えみたく「イモイモ写真」にハマっていた時期があった。
上下合わせると1時間に少なくとも2本は姿を見せた特急「雷鳥」とか、15分おきに走っていた新快速の117系など、見慣れてしまって、あまり撮る意欲も湧かないような被写体も、600ミリの超望遠レンズを使うと、別世界のように思えたものだった。
日本一長いという京都駅の1番ホームも、圧縮効果で短く見えた。
カラーフィルムに詰め替え、レンズも300ミリに。一般的なネガのカラーフィルムだと、20年もしないうちに変色して全体的に黄色を帯びてしまうが、仕上がりがカラースライドになるリバーサルフィルムの場合、20年どころか30年以上経った今でも、比較的、元の色を保っているのには驚かされる。
当時は、もちろん、そんな先にどうなるかなど考えたこともないし、分からなかったが、確か大先輩の方から「コダクローム(=コダック社のリバーサルカラーフィルム)は何年経っても色が変わらないぞ」と言われたことを覚えている。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。