1988年3月10日(木) 鶴見線のクモハ12

国鉄がJRになった頃には、既に日本全国の路線から「旧型国電」と呼ばれていた古い電車は殆ど姿を消していたが、いくつかの場所でまだ残ってもいた。
 特に1両編成の電車は、旧型国電の独壇場とも言えて、関東地方では神奈川県の鶴見線、中国地方では山口県の宇部線で、それぞれ戦前に製造された電車がまだ活躍していた。

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鶴見線では、武蔵白石-大川駅という、たった1駅間の支線(通称・大川支線)で、クモハ12型という戦前に製造された全長17メートルという小さな電車が活躍していたが、平日の昼間や休日など、お客さんの少ない時間帯には本線でも使われていたことがあった。

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そんな時は、東海道線と接続する鶴見駅にも顔を見せていた。
 同じ鶴見駅でも、鶴見線の乗り場は、かつて私鉄時代だった名残りで、歴史を感じさせる風情のあるホームだった。

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クモハ12型の車内に入ってみると、ホームと同じように、これまた歴史と風情を感じさせるものだった。白熱球の車内灯が、どこか温もりを感じさせる。

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鶴見線は臨港地区を走っていて、その利用者の多くは工場で働く人たちだ。そのため、朝夕は混雑するが、昼間は、この小さな1両編成の電車でも事足りた訳だ。

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このクモハ12型は、吊り掛けモーターと呼ばれる「ギー」という独特の音を響かせながら、1996(平成8)年の3月まで走っていた。

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