函館から乗り込んだ、夜行快速「ミッドナイト」の車内は、グリーン車と同じフルリクライニングシートが設置されていた。(注*もう1両の方は、カーペット敷き)
僅か7時間の旅ではあるが、前夜も夜行列車だった自分は、すっかり疲れていたこともあって、ぐっすりと眠ることが出来た。
目が覚めたのは、札幌到着を告げる車内放送だったから、まさに熟睡だった。
札幌駅に着くと、同じく網走からの夜行急行「大雪」がホームに停まっていた。
ここから小樽方面へ向かう。この日は、復活運転していた「SLニセコ号」を牽引するC62・3号機を撮りに行く予定だった。
小樽で電車からディーゼルカーに乗り換え、余市駅に降り立つ。
NHKの朝ドラ「マッサン」で、主人公のウイスキー工場があることで有名になった余市だが、この時の自分には特に感慨は無かった。
駅から近くの歩道橋にて、SLを待ち受ける。
駅に進入してくるSLは、減速しているだけなので、煙を吐いていない。
そんなシーンのSLを撮るなんて、素人まるだしだが、自分が鉄道を始めた頃には、既にSLは国鉄の鉄路から姿を消していたこともあり、そんな基本的なことも分かっていなかった。
ウイスキー造りには、霧のかかるような気候が向いているというのは、例の朝ドラを見て覚えたことだが、果たして余市の街の後方に見える山々には、確かに霧が掛かっている。
余市駅を出たSLを見送った後、自分も鈍行に乗って、その後を追い掛ける。
倶知安に着いていた列車は、先頭を牽引していたC62の3号機が既に機関庫に引き上げていた。が、当地のJR北海道は、その機関庫に鉄道ファンが立ち入って写真を撮ることに対して、禁止するどころか、どうぞどうぞと快く案内してくれた。今からは、とても考えられない、大らかさだった。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。