2009年3月14日(土) 京都駅

自分が鉄道写真を撮り始めた頃は、夜行列車=ブルートレインというイメージがあって、それが撮影対象としても大きなウェイトを占めていた。
 しかし、新幹線網の拡大と、時代の変化もあって、国鉄時代末期からダイヤ改正の度に姿を消す夜行列車があった。

そして、平成も20年台に入る頃になると、その傾向はより顕著になり、ついには両手で数えられるほどの本数にまで減ってしまった。

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東京と宮崎を結ぶ寝台特急「富士」と、東京と熊本を結ぶ寝台特急「はやぶさ」も、2009(平成21)年春になって、遂に最後の日を迎えることとなった。
 3月13日から14日に日付が変わろうとする時刻に、京都駅を訪れた。改札口前の電光掲示板には、この日が最後になるであろう、列車の告知が表示されていた。

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下り最終列車を撮りに6番ホームへ向かった時、ちょうど0番ホームに停まっていた夜行急行「きたぐに」が新潟へ向かって出発していった。こちらも、この頃にして、いつ廃止になるか分からない存在と言われていた。

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6番ホームの電光掲示板にも、「はやぶさ・富士」の表示が出ていて、それをカメラに収めるファンの姿があった。

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3分以上遅れて、その「はやぶさ・富士」が京都駅6番ホームに姿を見せた。このときには向かいの5番ホームも含めて、カメラを構えた鉄道ファンの姿が増えていたが、どう見ても一般の人もカメラやケータイを構えている姿が見受けられた。

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この時、デジタルカメラで撮影していたが、初期に比べると格段に高性能になったため、夜の撮影であるにも関わらず、フラッシュの使用が必須ではなくなっていた。もちろん、その方が運転士さんに迷惑を掛けずに済むので良いことなのだが、フィルム時代の昔と比べると、考えられないような次元のことではあった。

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若い頃、夜行列車に乗って九州から京都に来たという方が、すぐ近くでカメラを構えていた。帰省の度に利用していて、利用客が全然いなくなってしまったから無くなるという訳でもないのに廃止されてしまうのは大変残念だ、とこぼされていたのが印象的だった。

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始発駅だと、最終列車が出発していく時には「バンザイ」という歓声とか、「ありがとう」といった声が響き渡るのだが、途中駅の通過というカタチのせいか、この日の「はやぶさ・富士」は静かにホームから旅立ち、そして遠ざかっていった。
 その青い車体に向かって、名残惜しそうにカメラを向けている鉄道ファンの姿を見て、かつて小学生の頃に、この京都駅6番ホームに発着するブルートレインを撮るために、母親に付いて来てもらってまで訪れ、深夜のひとときを過ごした日々を思い出していた。

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。