1987年3月12日(木) 近鉄・伊賀線

まだ鉄道写真を撮り始める前、友人たちと奈良・東大寺へ観光で行った際、近鉄(近畿日本鉄道)の京都線で、いわゆる「湘南2枚窓」の電車=800系に乗ったことがあった。
 物心がついた頃から鉄道好きだった自分は、その「湘南2枚窓」のデザインがお気に入りだったので、近鉄で走っていた800系は、国鉄の80系電車に次いで好きな車両でもあった。

その近鉄800系は、世の中が昭和から平成になる頃には、本線での運用から外れ始めていた。1986(昭和61)年には、狭軌(1067mm)の伊賀線用として改造された880系となって、4両編成が2両ずつに分割されて転属するものが出始めた。

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1987(昭和62)年の春、三重県の伊賀上野へ行く機会があり、ついでに伊賀線を訪れてみた。
 伊賀上野駅は、国鉄→JRと近鉄が共用していたが、比較的、立派な駅舎に見えた。

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近鉄の伊賀上野駅のホームからは、伊賀線の車庫を望むことが出来た。880系も入庫しているのが見えたが、2両編成に分割された際に、中間車に新設された運転台の側しか見えなかった。

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しばらくすると、その880系がホームに入線してきた。

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反対側にまわって、ようやく憧れの「湘南2枚窓」と対面することが出来たが、腰の辺りに方向幕が新設されるなど、京都線で見た時とは風貌が少々変わっていた。

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伊賀線には、かつて同じく京都線などを走っていて、一足早く狭軌に改造されてやって来た820系を改造した860系が主力で活躍していた。

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車内は、今となっては幅が狭く感じられ、宙吊り広告も一列しかぶら下がってなかった。

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伊賀上野駅から伊賀上野城へ移動する途中、鉄橋があったので、少し待っていたら、860系が通り過ぎた。
 ちなみに湘南2枚窓の880系は、冷房車でなかったこともあり、伊賀線での活躍は短いものに終わり、転属して7年ほどで廃車の憂き目を見た。その要因が、860系が冷房改造されたことにあったのは皮肉なことだった。
 その860系は、同線が2007(平成19)年に「伊賀鉄道」に移管された後の2012(平成24)年まで活躍した。

 

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。