2008(平成20)年の夏、全国高校総体が埼玉県で開かれた。このとき、仕事でしばらく当地に滞在していたのだが、宿泊していたのは、いわゆる「さいたま新都心」近くのホテルだった。
当時、個人的なことだが、レース出場に備えて毎朝、自転車で走っていたので、滞在先の埼玉でも走ろうと、宅配便で自転車をホテルに別送したのだった。そして、早起きして自転車で走ってみて、びっくり。さいたま新都心から10分も走ると丘陵地が広がり、あちこちに畑が広がっていたのだった。駅前は、すごく近代的に見えたのだが、少し離れると、信じられないぐらい、のんびりとしていた。
そんな埼玉滞在中、秩父鉄道に乗る機会があった。当時、秩父鉄道には旧国鉄の101系電車がいっぱい走っていたのだが、それはかつて、日本各地の私鉄に旧型国電が残っていたのと同じような感じだった。
当時、首都圏では、この「国鉄」の通勤形を代表する顔は、とっくに姿を消していたが、関西地区にはまだいっぱい走っていたので、それほど「懐かしい」という感情は抱かなかった。
でも、JRになって年月が経ち、国鉄のオリジナル色は次第に消えていたのも確かである。しかし、大阪環状線で見慣れていて、当時もまだいっぱい103系が走っていただけに、このオレンジ色の車体は、自分には特に珍しくもなかった。
車内も、見慣れた感じがしたが、今の車両と違ってFRP=プラスチックなモノがあまり目に入らない。
天井には、中央に「JNR(国鉄)」マークの入った扇風機が、まだ現役で使われていた。
この秩父鉄道の旧101系電車も、2014(平成26)年3月に全廃となった。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。