1987(昭和62)年の春、ちょうど国鉄をJRへと分割民営化する直前の頃のこと。それを惜しむかの如く、各地で鉄道関係のイベントが(今から考えると恐ろしい頻度で)行われていた。
そんな中で、国鉄のお別れ運転で使うことになり、大阪の交通科学博物館に保存されていたマイテ49という、かつて東京と大阪を結んでいた特急「つばめ」「はと」の最後尾を飾っていた展望車が復活することになり、その完成展示会が京都駅で行われることになった。
展示が行われる京都駅7番ホームには、朝から多くの鉄道ファンが詰め掛けていた。
その中、DE10に引っ張られて、マイテ49が姿を見せた。「つばめ」の行灯式テールマークが目立っていたが、それよりも展望デッキにある「手摺り」が上に増設されていることに気付いた。
反対側には、EF58の150号機が連結されていたが、驚くことに茶色に化けていた。少し前まで、標準色の青色だったのだが…。
しかも左右のヒゲから手摺りに至るまで、まるでお召機関車のように磨き上げられてピカピカになっていた。パンタグラフが上がってなかったのは残念だったが。
長く大阪の交通科学博物館で静かに展示保存されていたものが、当時26年ぶりで復活した展望車マイテ49の方は今も現役だ。しかし、同じ時に茶色になったEF58の150号機の方は2011(平成23)年に引退してしまい、今では梅小路の京都鉄道博物館で静かに展示されている。
いつの間にか立場は入れ替わってしまったが、再びEF58の方が復活するようなことが起きて、また両者が手をつなぐ日はやって来るのだろうか。
注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。