1988年3月6日(日) C57「長浜楽市」号

最近でこそ日本各地のJR路線上でSL=蒸気機関車の運転が盛んになったが、昭和時代の終わり頃、それは山口線での定期運行を除けば、滅多に見られないものだった。

1988(昭和63)年の春、京都と長浜を一往復する「長浜楽市」号というC57型SLが引っ張る臨時列車の運行が発表された。
 その当日、超望遠レンズを携えて山科駅まで撮影に出掛けた。

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ホームに着くなり、DD51がけん引するお座敷列車「あすか」が京都の方を向いて通過していった。
 このお座敷列車「あすか」は、1986(昭和61)年末に山陰線の余部鉄橋で落下事故を起こして廃車となった「みやび」に代わるものとして1987(昭和62)年に登場したものだが、今年(2016年)まで残っており、この7月と10月に廃車のため吹田総合車両所に回送されたというニュースが流れていた。ただ、近年は全く運行されていなかったようだが…。

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当時は黙ってても何本もやって来たのが485系の特急「雷鳥」だったが、それに混じって、これも今年(2016年)の3月まで一日に1本だけ京都を通っていた特急「しなの」(381系)が通過していった。

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しばらくすると、今度はEF65にけん引された「あすか」が、先ほどとは逆方向にやって来た。
 どうやら京都駅で機関車を付け替えて、方向転換までしたらしかった。

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ようやく目当ての「長浜楽市」号が姿を現した。

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この「長浜楽市」号は、京都と大津の間にある距離の長いトンネル=東山トンネルと逢坂山トンネルをくぐる際、SLの煙が問題になるというので、実は最後尾にEF65型電気機関車を補機として連結していた。
 つまり、この区間に関しては実質的にはプッシュされて走っていたらしい。そのため、比較的、ゆっくりとしたスピードで目の前を通過していったのだった。

鉄道関連ニュース

京都新聞の撮り鉄カメラマン“カジやん”が、1978(昭和53)年から現在に至るまで、京都を中心に日本全国で撮影した鉄道写真を紹介します。

注*掲載写真の中には、現在は地形などの変化で撮影することができない場所や、撮影対象そのものが存在しなくなったものも含まれます。必ずしも現状とは一致しませんので、あらかじめご了承ください。